まず、犯行が明らかに不可能だった人物を挙げていくわね。





パチュリーは即死した状態で
凶器があった大図書館とは別の部屋のベッドに安置されていた。
よってこの事件はパチュリーによる自殺ではない。



また遠隔殺人の線が否定されている以上、
犯人は17:15には現場にいる必要がある。




咲夜は、17:30の時点で
殺害現場から20分の距離にあるレミリアの部屋の前で
射命丸のインタビューを受けていた。



よって、咲夜と射命丸は犯人ではない。





咲夜に部屋ごと見張られていた形になるレミリアにも
犯行は不可能でしょうね。




部屋の外だけを見張っていたならともかく、
20分置きに部屋に入って様子を確認されていた以上、
咲夜と同じように片道20分の距離の現場に
誰にもバレることなく抜け出して犯行を行うことはできないわ。


二人が共犯だと考えることもできるだろうけれど、
アカシャによればこの事件に共犯者は存在しない。
よって咲夜とレミリアの共犯という線も消える。



レミリアも犯人ではない。





じゃあ、やっぱり犯人はフランドール…?





誰?それ。





は?





だから誰よ、それは。





おいっ、ふざけるなよ! いるだろ!
レミリアの妹だよ! 本文中にも出てただろうが!










作中には、『妹』としてしか書かれてないわよ。





あっ…。





フランドールはそもそも作中の登場人物ではない
『犯人は登場人物の中の1人』とはっきりアカシャに書いてある以上、
彼女もまた犯人ではありえない。



作中で私達が勝手に見えないフランドールの影に怯えていただけよ。
同様に、このアカシャに登場していない名もなき第三者の
犯行という線も、これで消えるわけ。



そうか…そういう風に考えればよかったのか…。





それでは、次の検証に移るわよ。





次にこの事件の解決を阻んでいる
死体発見現場と凶器発見現場の二つの密室だけれど…。




そもそも、この事件では、
複雑な密室トリックなど一度も使われていないわ。




えっ?





どういうことだ?霊夢。





その理由をこれから説明するわ。





まずは密室周りの情報を整理しましょう。





@咲夜のマスターキーが破壊されたため、13時以降は
大図書館もパチュリーの部屋も、パチュリー自身が持っていた
それぞれの扉に対応する鍵でしか
施錠も開錠もできなかった。



Aだが、その鍵は両方とも施錠された
パチュリーの部屋の中で死体とともに発見された。

よって、この二つの部屋は密室状態にあったことになる。



B凶器や血痕が残されていることから、
大図書館が犯行現場であることに間違いはない。




事件に必要な、凶器、現場、死体の要素が
二つの密室によって分断されている。




このことが、この事件を一見誰の手にも
不可能な犯行であるように見せているのだけど…。




そうなんですよね…。
だから何か複雑なトリックが使われたのかと思ったんですが…。




密室殺人には、いくつかのパターンが存在するわ。





その@:本当は自殺





今回のケースでは、凶器が死体とは
別の密室に閉じ込められていたわね。




橋の上で拳銃自殺した被害者が、銃を石に括りつけて、
死んだらそのまま銃が橋の下に落ちた…なんて
ミステリーもあったけれど…。



二つの密室を通り抜けて凶器が移動した…
これが今回の事件の問題点であって、そういう意味では
自殺で片付けられる密室でないことは明らかだわ。



自殺の線は、さっきの検証の時にも
はっきりと否定されていたもんな。




そのA:外部から何らかの方法で殺害した





これに関しても本文中で色々と描写されていたけれど…
これも凶器と被害者がそれぞれ別の密室に閉じ込められているから
考えにくいわね。



飛び道具だったら、何らかのトリックが使われたことも
考えられるかもしれないけれど…何せ凶器が本ではね。
至近距離から殴りつける以外に方法はなさそう。



「遠隔殺人であるかのような細工も現場からは見つからなかった」と
アカシャにも書かれているしね。




そのB:まだ室内に隠れている





容疑者がほぼ全員姿を現していることから考えて
この可能性を考えるなら、姿を見せていないレミリアの『妹』を
疑うことになるのでしょうけれど…。



後で私達が調査した結果として、
「誰かが隠れている形跡も痕跡もなかった。」と言っている以上
犯人が現場に隠れていた可能性もないでしょうね。



登場人物として考慮しない以上
フランドールを疑う理由もないわけですね。




そのC:被害者が本当は外にいた





本当は外で殺害されたパチュリーが
何らかの方法で室内に運び込まれた…。




典型的なのは、瀕死の被害者が
自ら部屋に逃げ込んで、そこで息絶えた…というものだけれど…。
今回は検死の結果即死だと言われているので、
アカシャにもある通りそれは有り得ないわね。


第三者によって運び込まれたとするのでは
密室の問題の解決にはならないから、意味がないわね…。




となると残る可能性は…。





そのD:発見者が嘘をついている





発見者っていうと…私と美鈴と咲夜か?





いえ…今回の事件の密室に関して考えるならば
ここで重要なのは部屋の鍵を発見した人物
つまり魔理沙美鈴ね。



本当は最初から持っていた鍵を、
あたかも今発見したかのように装って部屋を捜索している
みんなの前に見せる、みんなの目を盗んで部屋に
投げ入れる、などといった方法によって、密室に見せかけるトリック。


突発的な犯行の隠蔽に使われるような
チープなトリックだけれど…。




死体が発見されてから、私達による捜査が開始するまで
暫くの間、死体発見者達だけで現場を捜索したようだけれど
そのくだりは作中で描写されていないわ。



大掛かりな工作は他の人の手前行えないにしても
そのくらいの小細工を弄することは可能だったんじゃないかしら。




しかし、ここで大きな問題が発生する。











「大図書館の鍵」を発見したと言う「魔理沙」と、
「パチュリーの部屋の鍵」を発見したと言う「美鈴」。




魔理沙」が嘘をついていたとすると、
大図書館の密室は解けるけど、それだけ。
パチュリーの部屋の鍵が施錠できない。



死体が発見されたのはパチュリーの部屋なのだから、
あの密室を解けない限りはどうしようもない。




じゃあ、美鈴が犯人なんじゃないのか?





それは有り得ないわね。





美鈴」が嘘をついていたとすると
確かに全ての犯行に一応の説明はつく。




美鈴は大図書館でパチュリーを殺害すると、
彼女の持っていた鍵を奪い、死体を部屋から出して大図書館を施錠。
そのまま個室に死体を移動させて、最後に外から個室の鍵を施錠。



あとはみんなの前で鍵を発見したフリをして
最初から持っていた部屋の鍵を取り出す…。




話の筋は通るじゃないですか。





けれど、ここでまた問題が発生する。





思い出して頂戴。美鈴には、「17:00から17:30の間」
射命丸のインタビューを受けていた
というアリバイがある。




射命丸自身も証言していること、
咲夜のインタビューの開始時間などと照らし合わせても
確実なアリバイよ。



となると、パチュリーの死亡時刻の
17:15には彼女に犯行は行えない





あ…そうでした。





つまり、美鈴も犯人ではない





ここで思い出して欲しいアカシャの記述があるわ。











美鈴は、門番の仕事中に居眠りをする癖があった。





また、そのために門番の仕事を
ちゃんとこなすことができないことがあったようね。




次の失敗ではクビにされると脅されていたのだから、
内心では相当焦っていたのでしょうね。
けれどまたこの日も、射命丸の証言では彼女は
入り口で眠そうにしていたらしい。


そんな彼女が、はたしてこの日は一日中
居眠りをせず門番の仕事をこなしていたのかしら?




ちょっと待ってくれ!美鈴が居眠りをしたかどうかが
この事件に関係しているのか!?




そう。彼女の職務怠慢があったからこそ、
この事件は犯人を特定することが可能になるの。




結論から言うと、美鈴はこの日も居眠りをしていた





インタビューを受けてたことで、少なくとも確実に起きていた
犯行時刻前後以外のどこか、であることを考えると…。




少なくとも、何時からかはわからないけど
射命丸の取材が開始した17:00までと
射命丸の取材を終えた18:00頃以降
魔理沙が館を訪れる20:00までの2回は必ず
ね。


その2回に行われたことはもちろん
犯人が館に忍び入り、人知れず出ていくことよ。




何故居眠りをしていたと断定できるんですか?





彼女は咲夜のマスターキーのことを疑っているわ。











しかし、マスターキーは昼間の騒動で壊れていた。
レミリアが言うには、紅魔館の誰もが気づくような騒ぎだったらしいわ。
それなのに、美鈴は咲夜のマスターキーのことを知らなかった。



ということは、彼女は少なくともその時間
居眠りをしていた可能性が高い。




アカシャには、門以外の場所からの
館への侵入の痕跡がない、と書いてあるけれど。
逆に言えば、門から侵入者が出入りした
可能性があるということではないかしら。


居眠りから目覚めた美鈴は
門からの覚えのない侵入者の痕跡に気づいて屋敷の中へ戻り
そしてパチュリーの死体を発見する。



おそらくは、犯人自身も犯行の証拠を隠すために、
現場の大図書館を施錠してパチュリーの死体を
どこかに隠そうとしていたのでしょうね。



屋敷に戻った美鈴は、その最中の犯人に遭遇。
犯人が誰かは、分からないうちに逃げられたんだと思うわ。




どうしてだぜ?





犯人は、現場検証の際に現場に戻っていたのだから。
彼女が犯人を知っていれば、何らかのアクションを取ると思うわ。




パチュリーの死を目撃して、美鈴は焦った。
門以外からの侵入の形跡がない以上、
自分が居眠りをしている間に門から侵入した者が
パチュリーを殺害したことは明らかだった。


門番としての仕事も果たせないばかりか、
守るべき館の人間を殺されてしまっては
確実にクビを言い渡されてしまう。



そこで彼女は、『自分が門番としての仕事を確実にこなした上で、
パチュリーが殺された』ことにしようとした。
そして思いついたのが、『館の中の人間の犯行に
でっちあげる』というものよ。


発見したパチュリーの死体から
パチュリーの部屋の鍵を抜き取り、部屋の中に死体を安置。




美鈴自身は犯人ではなく、
また自分が遣える館の住人だったパチュリーの死体だったから
敬意を払うように扱い、ベッドに安置したのでしょうね。



そして部屋に鍵をかけて、あとは
その鍵を死体発見まで持っていればいい。




現場を捜索している最中に、みんなの目を盗んで
あたかも今鍵を発見したかのように装う。




当然、犯行をでっちあげようとした相手は
マスターキーを持っていると思い込んでいた咲夜ね。




だけど、彼女は咲夜のマスターキーが壊れたことを知らなかった。
このために、奇妙な密室が生まれてしまった。




これ以外の方法で、二つの密室を構築することはできないわ。





以上の理由から、自動的に残るのは1人だけになる。





パチュリーを殺害して逃走した後、再び紅魔館を訪れて
死体発見の際に、元々パチュリーの死体から
抜き取っていた大図書館の鍵を
さも元からあったものを発見したように装った…。


美鈴の他に、『鍵を発見したという
嘘をついていたもう1人の人物』





犯人は『 魔 理 沙 』。 彼女以外には考えられない。





一見すると、魔理沙が現場に現れたのは
20:00からのように見えるけれど、
「魔理沙がパチュリーの元へ向かうシーン」から
「紅魔館の入り口を訪れるシーン」の記述の間には開きがある。


おそらく、最初のシーンは
もっとずっと前の時間だったのでしょうね。










事件は「クリスマスも近くなってきたある日の夜」に起きている。
これは概ね12月だと考えて間違いないでしょう。




舞台が幻想郷(日本)だとすると、
その頃には日の入りが16時近くまで早まる日もある。
冒頭の独白で魔理沙が夜だといっていたのも不思議なことではない。



紅魔館に到着して17:15にパチュリーを
殺害することも、可能だったと思われるわ。




魔理沙さんは、犯行後に一度
現場から逃走していたんですね…。




犯行時、本人が指摘している通り、
服には返り血がついてしまっていた。
後から戻ってきた時は、着替えていたのでしょうね。
おそらくは、よく似た別の服を何着か所持してるんでしょう。


美鈴に見つかることなく逃げ帰ってきた魔理沙だったけれど
やはり不安になったのかしらね。状況を確認するために
再度現場に戻ってきた。



その時点でまだ死体が見つかっていなかったため
パチュリーに会いに来たと言ってさりげなく死体発見を促した。
犯人でないことをアピールする意味もあるし、
パチュリーの大図書館の鍵をいつまでも持っているのも危険だった。


思えば「いつも居眠りしている間に」
「こっそり入ってくる」はずの魔理沙が堂々と門から
入ってきたこと自体が、最初から妙ではあったわね。



その際、彼女がパチュリーを殺害した現場とは
別の場所から死体が発見されたため魔理沙も驚いた。
これが事件の真相でしょうね。



ちょっと待てよ!さっき言ってただろ!
『この事件に共犯者は存在しない』って!




あれ?そうですよね…。
それなのに美鈴さんが犯行を隠すことに協力していたとしたら
おかしくないですか?



だから「犯人」は魔理沙一人よ。
よくアカシャを読みなさい。




共犯者はいないけれど、
結果として犯人のアリバイを隠すことになった
行動を取った人物がいない

とは言ってないわよ。


あれ?そういえば確かに…。





美鈴も魔理沙も、お互いの取った行動を
実際には知らなかったはず。
美鈴はただ、彼女が居眠りをした事実を隠そうとしただけで、
魔理沙も誰が何故自分のアリバイ隠しに協力したかは知らない。


たまたま美鈴の利己的な行動が
犯人のアリバイ隠しの役に立っただけで
これを『共犯』とは言わないわ。



当初は魔理沙はパチュリーに会うことを楽しみに
していた様子だったことから考えると…。
まぁあくまで発作的な犯行に及んだだけなのだろうけど
それを複雑化したのは美鈴の工作が原因ね。


まさか、自分が犯人になってたとは思わなかったぜ…。





だから、「魔理沙にはわからない」んじゃ
ないかなって思ったのよ。




パチュリーさんも、随分と意地悪ですね。





全く!人を人殺し扱いしやがって!
今度会ったら図書館の本は全部いただいてやる!




本当に仲がいいわね、貴女達は。





どこがだよ!

















だって、そうじゃないの。
『パチュリーは犯人に抵抗した様子がない』という
アカシャの記述…。



つまり、犯人…魔理沙は、パチュリーにとって
『自分を殺すとしても、その瞬間まで抵抗しない』ほど
信頼している人物…。



これはもう愛情と言い換えても、いいんじゃないかしら?
随分と、回りくどい愛情表現だけれど。




あら、もう行っちゃったのね。魔理沙ってば。








































パチェック×ロジック vol.1 歩く死体

END







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