まず私が言いたいのは、本当の殺害現場は
大図書館ではなかった、ってことだ。
死体が発見された現場の大量の血に対して、
容疑者の中に返り血などを浴びている人物が
見当たらなかったのは、明らかに不自然だ。
大図書館に置かれていた凶器の本も、そこから点々と部屋まで
続いていた血痕も、そこまでの量ではなかった。
となると、これらの証拠は犯人の偽装工作である可能性がある。
そう。犯人はパチュリーを部屋で殺害した後、凶器の本を
大図書館に置いてきた上で、大図書館とパチュリーの
部屋の鍵を、パチュリーの部屋の中のどこかに隠すことで
偽装工作しようとしたんだ。
凶器が本であることに間違いない、ということは
永琳の検死結果から明らかになっているから、おそらくは
パチュリーを本で撲殺した後、指紋だけを拭き取って
大図書館に置いたんだろうな。
あたかも、これが密室で行われた
不可能犯罪であるように見せかけるために。
もちろん、パチュリーの持っていた鍵がなければ、
大図書館もパチュリーの部屋も施錠できない。
これでは密室が作れないから、犯人はもう一つトリックを使った。
犯人はいったん両部屋の鍵を持って部屋を退出し、
死体発見後に人目を盗んで鍵をパチュリーの部屋に放置して
第三者に発見させて、密室のトリックと鉄壁のアリバイを得たんだ。
ここで思い出してもらいたいのが、
この日の昼間にマスターキーが壊れてしまったという証言だ。
これももちろん、この犯行のための細工だった。
マスターキーの存在がある限り、パチュリーの部屋も
大図書館も、密室にはできない。
犯人はあらかじめ
昼間の騒動に紛れて、あえて自らマスターキーを破壊しておき、
今回のトリックのための下準備をしていたんだ。
言うまでもないが、こんなことができる人物は
一人しかいない。
…つまり、咲夜は魔理沙や美鈴と一緒にパチュリーの
部屋を散策している最中に、他の二人にバレないように
部屋のどこかに、こっそり持っていた鍵を置いて、
それを偶然二人が発見したということ?
随分と危なっかしいトリックね…。
二人が鍵を発見できなかったらどうしたのかしら。
既に二人が調べた場所に鍵を置いたら、
さっきまでなかったはずの鍵が突然出てきたと思われて、
かえって自分に疑いが向くことになるし。
鍵を置く瞬間を見られたらそれこそ一発でアウトだわ。
そのへんは…賭けだったんだろうな。
人を一人殺すのにリスクはつきものってことだぜ。
ともあれ、犯人の咲夜はいくつかの偶然に助けられて、
見事鉄壁のアリバイをものにした。
そういうことだろうな。
それと、本当の殺害現場が大図書館じゃ
なかった、というのも無理があるわね。
密室が作りたいだけなら、わざわざ大図書館まで
持ち出してくる必要はない。
パチュリーの持っている鍵を使って大図書館に入って、
凶器を置いて出てくる、なんて真似をするなら、
最初から大図書館が現場で、パチュリーの死体を
部屋まで運んできても同じことじゃないの?
そんな曖昧な動機で、凶器を持って現場を
うろうろする危険を冒すとは思えないわね…。
それにもう一つ、決定的に咲夜が犯人には
なり得ないことを示す記述がアカシャにあったでしょう。
アカシャに書かれていた、決定的に咲夜が犯人には
なり得ないことを示す記述は…。
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